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これから増える税務調査 ~近年の動向を知って備えよう~

これから増える税務調査 ~近年の動向を知って備えよう~

■ はじめに
 ご自身の確定申告はお済みでしょうか。申告期限を終えた4月以降は、少しずつ税務調査が増えてくる時期となります。今回は昨年公表された「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(以下「報告書等」という。調査対象は、令和3年7月から令和4年6月までの間の実績による)を中心に、コロナ禍における税務調査の動向を確認していきます。

■ 所得税・消費税(個人事業主)の調査実施状況
 表1・表2から調査の実施状況を見てみましょう。両税目ともに「実地調査」の令和3年度の件数は、令和2年度と比べ増加したものの、コロナ禍前(令和元年度)と比較すると半分程度にとどまっています。一方で、原則として文書・電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正する「簡易な接触」の件数は、高い水準を維持しており、税目別にみるとコロナ禍前と比べ、所得税は約1.5倍、消費税は約1.8倍の件数が実施されています。このように実地調査の減少に伴い、コロナ禍では直接的な接触の少ない調査方法が積極的に実施された実態が確認できます。
 また追徴税額の総額を見てみると、所得税がコロナ禍前の水準に近接し、消費税はコロナ禍前と同等の数値に回復していることがわかります。報告書等で、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案や無申告等の事案を優先して調査した旨の記載もあり、実地調査の件数は減っているものの、1件あたりの追徴税額が高額となっている実態が伺えます。

■ 気になる今後の調査動向は
 今回の報告書等から、調査件数が徐々に増えている状況が見て取れます。また政府により、令和5年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類を「5類」に引き下げる決定がなされました。この状況を考慮すれば、今後は実地での調査件数もコロナ禍前の水準に近づいていくことが想定されます。また報告書等に取り上げられた下記の方に対しては、今後も積極的な調査対象となることが予想されます。

■ おわりに
 医業については、所得が高額になりやすく、申告漏れ所得も高額となりやすい業種にも該当します。そのため、今後調査件数が増えるにあたっては、調査候補となる可能性も高いと推察されます。適正な申告を行っていれば、必要以上に税務調査を意識する必要はありませんが、気になることがあれば、専門家に相談をすることをお勧めします。

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