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年収の壁・支援強化パッケージ
人手不足への対応が急務となる中で、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するため、政府は、当面の対応として後述する支援強化パッケージを打ち出しています。
■1 年収の壁とは
ここでいう「年収の壁」は、「106万円の壁」および「130万円の壁」を指します。 両者は年収がその額を超えれば
保険料の負担が発生し、その分手取り収入が減少するため、これを回避する目的で就業調整が意図されるという点では
共通していますが、前者の額は自身が健康保険・介護保険・厚生年金保険(「社会保険」)に加入する基準であるのに対し、後者の額は被扶養者に留まるための基準ですので、前者の延長線上に後者があるわけではありません。
■2 支援強化パッケージ
支援強化パッケージは、1106万円の壁への対応、2130万円の壁への対応、3配偶者手当への対応で構成されています。それぞれ詳しくみていきましょう。
①106万円の壁への対応
イ キャリアアップ助成金のコース新設
短時間労働者が新たに社会保険の適用となる際に、労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対して、一定期間助成を行うことにより、壁を意識せず働くことのできる環境づくりを後押しするため、キャリアアップ助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」が新設されます。
ロ 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
短時間労働者への社会保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合に、「事業主」は、当該労働者の保険料負担を軽減するため、「社会保険適用促進手当」を支給することができることとされます(国や自治体から支給される給付金ではありません)。
「社会保険適用促進手当」は、給与・賞与とは別に支給するものとされますので、原則として保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定基礎とはされません。
②130万円の壁への対応
ハ 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
被扶養者認定時、恒常的でない収入により130万円4を超過している場合、過去の課税証明書、給与明細書、労働契約書などを確認しているところ、昨年10月以降は、これらに加えて、人手不足による労働時間延長などに伴う一時的な収入変動である旨、即ち、その超過が恒常的でない収入によるものである旨の事業主の証明を添付することで被扶養者認定が可能となり、被扶養者認定の円滑化が図られます。 ただし、この取り扱いは、その超過が恒常的でない収入によるものであるという理解を前提としていますので、同一の者について原則として連続2回までです。
③ 配偶者手当への対応
ニ 企業の配偶者手当の見直し促進
令和6年春の賃金見直しに向けた労使の話し合いの中で配偶者手当の見直しも議論されるよう、政府は以下の対応を実施します。
(1)中小企業においても配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順をフローチャートで示す等わかりやすい資料を作成・公表する。
(2)配偶者手当が就業調整の一因となっていること、配偶者手当を支給している企業が減少の傾向にあること等を各地域で開催するセミナーで説明するとともに、中小企業団体等を通じて周知する。