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シリーズ『保健医療計画をみる』【第6回】和歌山編 地域医療構想

税理士・土居秀行のシリーズ『保健医療計画をみる』 
本シリーズは全国都道府県の医療計画をわかりやすく紐解き、医療業界経験の長い税理士の視点でお伝えいたします。

 

 温暖な気候が特徴の和歌山県。有田みかんはその気候の産物である。白浜温泉は、道後温泉や有馬温泉と並ぶ日本三古湯に数えられ、日本書紀には、当時の歴代天皇が訪れていたと記載されており、また万葉集にも「牟婁の古湯」として登場している。そして標高約900mの山上盆地に広がる高野山は、弘法大師・空海が真言密教の道場を開くにふさわしい地として選んだ聖地であり、国内外から毎年多くの人が参拝に来る。熊野古道、那智の滝も高野山同様パワースポットとして人気を集めている。

 このように和歌山県は観光資源が豊富であり、広範囲にわたって県民が暮らしていることから2次医療圏も7つに分けられている。しかし人口の大半は和歌山市周辺に集中しておりそれぞれの格差が鮮明となっている。

 そこで今回は、そんな和歌山県の「地域医療構想」をご紹介したい。地域医療構想とは、平たくいうと、「地域における、あるべき医療提供体制」を定めたものである。そのためには、地域の医療機関が担っている医療機能の現状把握・分析を行う必要があることから、各医療機関からその所有する病床(一般・療養)機能を都道府県に報告することとなっているのである。(病床機能報告制度)

 そして、報告された県内の医療機能について、医療機関や住民が地域の医療提供体制、の現状と将来に姿について共通認識を持つとともに、医療機関が相互の自主的な取り組みにより医療機能の分化・連携を進められるよう公表している。だから、他の病院が今後どのような医療機能を提供していこうとしているかが相互にわかるシステムとなっているのである。

 医療機能は、「高度急性期」、「急性期」、「回復期」、「慢性期」の4つである。「急性期機能」に関しては、28年度報告では、5,922床ある一方で2025年における必要病床数は3,142床なのである。多すぎるのである。「回復期機能」については、28年度報告では1,340床、2025年における必要病床数は3,315床である。不足しているのである。

 つまり、「急性期機能」から「回復期機能」へ転換を促しているのだ。そして回復期への病床機能の転換は、リハビリ人材の育成、確保を同時に進めていかなければならないのである。最後に「慢性期機能」についてであるが、私の知識不足なのか矛盾を感じる。それは、在宅等で対応可能な慢性期患者は、将来においては在宅医療で対応するという方向で進められているようだが、それは可能なのか。現代社会の家庭環境を考えれば、自宅での在宅医療が可能なのかと思うのである。

 結局、病院 ⇒ 介護施設、病院 ⇒ 有料老人ホーム。となるだけではないのか。無知の戯言なのかもしれません。

 

出典:第4章 地域医療構想(和歌山県HPより)

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